産業財産権4つはセットで覚える

経営法務の知的財産分野で最も出題頻度が高いのが、特許権・実用新案権・意匠権・商標権の「存続期間」と「制度の違い」です。数字そのものは単純ですが、起算日が「出願日」なのか「登録日」なのか更新できるのかまで正確に押さえていないと、選択肢のひっかけに引っかかります。

存続期間の一覧表

権利 保護対象 存続期間 起算日 更新
特許権 発明(高度な技術的思想) 20年 出願日 不可(医薬品等は最長5年の延長あり)
実用新案権 考案(物品の形状・構造・組合せ) 10年 出願日 不可
意匠権 物品等のデザイン 25年 出願日 不可
商標権 商品・サービスの目印(マーク) 10年 設定登録日 何度でも可

ポイントは3つです。

  1. 商標だけが「登録日」起算で、しかも更新できる。商標は創作を保護するのではなく、信用が蓄積した目印を保護する制度なので、使い続ける限り守られます。
  2. 意匠権は令和元年改正で「登録日から20年」→「出願日から25年」に変わりました(2020年4月1日以降の出願に適用)。古いテキストの数字で覚えている人は要注意です。
  3. 特許・実用新案・意匠は「出願日」起算。審査に時間がかかっても、その分だけ権利期間が削られる仕組みです。

語呂合わせ

特に(20)・実に(10)・意(25)外・商(10)売は更新」のように、頭文字と数字を並べて口に出して覚えるのが早道です。意匠の25年だけ半端な数字なので「意外と長い」と印象づけると忘れません。

審査の有無と権利行使の違い

存続期間とあわせて狙われるのが、実用新案だけが無審査登録である点です。

  • 特許・意匠・商標は、特許庁の実体審査を経て登録されます。
  • 実用新案は、方式審査のみで早期に登録されます(出願から数か月)。その代わり、権利行使(警告や差止請求)をするには実用新案技術評価書を提示しなければなりません。

また特許には、出願日から1年6月で出願公開出願日から3年以内に出願審査請求(しなければ取下げ擬制)という手続上の期限があります。「1年6月」「3年」「20年」の3つの数字を1本の時間軸に並べて覚えましょう。審査請求は出願人だけでなく「何人も」できる点も頻出です。

実務との結びつきで理解を深める

中小企業診断士の試験では、単なる暗記より「どの権利で守るべきか」という助言の視点で問われることがあります。

  • ライフサイクルが短い日用品のちょっとした改良 → 早く安く取れる実用新案
  • 長く使うブランドロゴ・店名 → 更新で半永久的に守れる商標
  • 製品の外観が売りの商品 → 意匠(部分意匠・関連意匠・画像や建築物も令和元年改正で保護対象に)
  • 技術的な基本発明 → 特許(ただし公開されるので、公開したくないノウハウは不正競争防止法の営業秘密で守る)

このように、存続期間・審査の有無・公開の有無を組み合わせて「どの制度で保護するか」を説明できるようになると、1次試験だけでなく2次試験や実務でも役立ちます。

学習のコツ

  • 表を白紙に自分で再現できるまで書く(数字と起算日と更新可否の3列)。
  • 選択肢で「登録日から20年」「更新できない商標」などの入れ替えパターンを見たら即座に誤りと判断できるよう、誤肢の型を覚えておく。
  • 法改正の年(意匠25年=2020年4月施行、著作権死後70年=2018年12月施行)は年号ごとメモしておく。