在庫回転率は「1年に何回入れ替わったか」
在庫回転率は、一定期間に在庫が何回入れ替わったかを示す指標です。高いほど在庫が滞留せず、少ない在庫で売上をあげられていることを意味します。
在庫回転率 = 売上高 ÷ 平均在庫高(売価基準)
在庫回転率 = 売上原価 ÷ 平均在庫高(原価基準)
分子と分母は必ず同じ基準にそろえます。売上高(売価)を分子にしたなら在庫も売価で、売上原価を分子にしたなら在庫も原価で評価します。ここを混ぜると数字が実態とずれるので、問題文がどちらの基準かを最初に確認してください。平均在庫高は通常(期首在庫+期末在庫)÷2で求めます。
裏返しの指標が在庫回転期間(日数)です。
在庫回転期間(日) = 365 ÷ 在庫回転率 = 平均在庫高 ÷ 1日当たり売上高
回転率が高いほど回転期間は短くなります。「回転率は高いほど良い、回転期間は短いほど良い」と、望ましい方向を逆に覚えないよう注意してください。
交差比率は「回転」と「儲け」の掛け算
回転率だけを見ると、薄利で回しているだけの商品が高評価になってしまいます。そこで粗利益率と組み合わせたのが交差比率(交差主義比率)です。
交差比率 = 在庫回転率 × 粗利益率(%)
= 粗利益額 ÷ 平均在庫高
例:次の2商品を比べます。
| 商品A | 商品B | |
|---|---|---|
| 年間売上高 | 2,400万円 | 1,200万円 |
| 平均在庫高(売価) | 200万円 | 300万円 |
| 粗利益率 | 20% | 40% |
- 商品A:在庫回転率 = 2,400 ÷ 200 = 12回、交差比率 = 12 × 20 = 240
- 商品B:在庫回転率 = 1,200 ÷ 300 = 4回、交差比率 = 4 × 40 = 160
検算は「粗利益額 ÷ 平均在庫高」で行います。商品Aの粗利益額は2,400 × 20% = 480万円で、480 ÷ 200 = 2.4(240%)。商品Bの粗利益額も1,200 × 40% = 480万円ですが、480 ÷ 300 = 1.6(160%)。同じ粗利益額でも、在庫が少ないAのほうが効率が良いとわかります。
粗利益率だけを見れば商品Bが優れて見えますが、投下した在庫あたりの儲けでは商品Aが上です。交差比率は「限られた売場・在庫という資源をどの商品に割くか」を判断する指標だと理解しておくと、事例問題でも使えます。回転期間は商品Aが365 ÷ 12 = 約30日、商品Bが365 ÷ 4 = 約91日です。
ABC分析で管理の手間を配分する
ABC分析は、パレートの法則(売上の大部分は少数の品目が生む)にもとづき、品目を重要度でA・B・Cに分けて管理の濃さを変える手法です。手順は、①品目ごとの年間出庫金額(売上高)を大きい順に並べる、②累積構成比を計算する、③累積比率で区切る、の3段階です。
| 品目 | 年間売上高 | 構成比 | 累積構成比 | 区分 |
|---|---|---|---|---|
| ア | 500万円 | 50% | 50% | A |
| イ | 250万円 | 25% | 75% | A |
| ウ | 120万円 | 12% | 87% | B |
| エ | 80万円 | 8% | 95% | B |
| オ | 50万円 | 5% | 100% | C |
合計は1,000万円で、累積構成比が最後に100%になることが検算になります。区切りの数値(Aは累積70〜80%まで、Bは95%程度まで、残りがC)は絶対的な基準ではなく、企業が方針として決めるものです。
作図に使うのがパレート図で、棒グラフ(金額の降順)と折れ線グラフ(累積構成比)を組み合わせます。QC七つ道具のひとつでもあるので、運営管理では両方の文脈で出題されます。
区分ができたら、管理方法を変えます。
| 区分 | 管理の方針 | 向いている発注方式 |
|---|---|---|
| A | 手間をかけて厳密に管理。需要予測を行い在庫を絞る | 定期発注方式 |
| B | 中程度の管理 | 定量発注方式(発注点方式) |
| C | 手間をかけない。欠品しない程度に多めに持つ | ダブルビン法などの簡易方式 |
「重要なものに管理資源を集中し、そうでないものは割り切る」という発想が本質です。全品目を同じ精度で管理しようとすると管理コストが利益を食いつぶす、という理由まで理解しておけば、応用問題にも対応できます。