科目合格制度とは
第1次試験は7科目ありますが、総合合格に届かなくても、満点の60%を基準とする科目合格基準に達した科目は「科目合格」となります。 科目合格した科目は、受験者の申請により翌年度と翌々年度に限り免除を受けられます。つまり有効期間は実質2年です。
制度上のポイントは3つです。
- 免除は自動ではなく申請制。申込時に申請しなければ免除にならない。
- 免除申請は受験申込受付期間内のみ。後から申請することはできない。
- 1次試験に合格すると、それまでの科目合格による免除申請資格はなくなる。
また、1科目でも欠席した年度はその年の1次試験合格にはなりませんが、受験した科目については科目合格の判定が行われます。 「今年は3科目だけ受けて科目合格を狙う」という戦い方も制度上は可能で、事前の申請も不要です。
免除の最大の落とし穴:総点数から丸ごと外れる
ここが複数年計画で最も誤解されるところです。 免除申請した科目は合否判定の対象外になります。60点とみなされるわけでも、科目合格時の得点が引き継がれるわけでもありません。
合格基準は「総点数の60%以上、かつ1科目でも満点の40%未満のないこと」ですが、 免除した場合の総点数は免除申請していない科目の数×100点で計算されます。
| ケース | 総点数 | 合格に必要な得点 |
|---|---|---|
| 7科目受験 | 700点 | 420点 |
| 2科目免除・5科目受験 | 500点 | 300点 |
| 4科目免除・3科目受験 | 300点 | 180点 |
つまり、残した科目だけで平均60点を取らなければならないということです。 ここに罠があります。得意科目を先に科目合格させて免除してしまうと、翌年は苦手科目だけが手元に残り、 「貯金を作る科目」が1つもない状態で平均60点を要求されます。得点源を失った状態での再挑戦は、体感の難易度が跳ね上がります。
判断基準はシンプルです。
- 免除する: その科目を再受験しても60点を超える見込みが薄い、または年度による難易度の振れが大きい科目(経営法務など)。
- あえて免除しない: 安定して70〜80点を取れる得意科目。受験して得点の貯金にする。
免除申請しなかった科目は普通に受験できるので、「科目合格したが、あえて受け直して稼ぐ」という選択が有効な場面は実際にあります。 ただし、受け直した年に60点を割れば、その科目の得点は当然その年の総点数に響きます。実力に確信があるときだけの手です。
おすすめの科目の組み合わせ
2年計画を組むなら、性格の似た科目をまとめて同じ年に置くのが基本です。
プランA(暗記先行型)
- 1年目: 経営情報システム・経営法務・中小企業経営/中小企業政策・運営管理
- 2年目: 企業経営理論・財務・会計・経済学・経済政策
暗記科目を先に片づけ、2年目は理解型の3科目に集中する形です。 ただし2年目に残るのは平均60点のハードルが高い科目群なので、1年目のうちに財務の基礎だけは並行して固めておく必要があります。
プランB(2次直結型)
- 1年目: 企業経営理論・財務・会計・運営管理
- 2年目: 経済学・経営法務・経営情報システム・中小企業経営/中小企業政策
こちらは、2次試験の事例に直結する科目を1年目に固める形です。 1年目から2次の学習を始められるため、最終合格までの総期間は短くなりやすい構成です。中小企業経営・中小企業政策は最新の白書と施策に基づく科目なので、後年に置くほうが無駄な暗記が減るという利点もあります。
複数年計画で気をつけること
科目合格の有効期間は2年です。3年目に持ち越すと権利が消えるため、初年度に科目合格した科目は遅くとも2年後までに使い切る計画にしてください。 また、受験手数料は免除の有無にかかわらず一律です(令和8年度の1次は17,200円、別途決済事務手数料)。 「1科目だけ受験」でも同額なので、費用面からも、免除しすぎて何年もかけるより2年で仕留める設計のほうが有利です。