モチベーション理論は「内容理論」と「過程理論」に分けて覚える

企業経営理論の組織論では、毎年のようにモチベーション(動機づけ)理論が出題されます。理論の数が多く混乱しがちですが、まず大きく2つに分けると整理できます。

  • 内容理論:「人は何によって動機づけられるのか」を扱う。マズロー、アルダーファ、ハーズバーグ、マクレランドなど。
  • 過程理論:「人はどのように動機づけられるのか(そのプロセス)」を扱う。ブルームの期待理論、アダムスの公平理論、ロックの目標設定理論など。

本記事では、その中でも出題頻度の高いマズロー・ハーズバーグ・期待理論の3つを取り上げます。

マズローの欲求階層説:5段階を下から順に

マズローは人間の欲求を5段階に分け、低次の欲求がある程度満たされると、次の段階の欲求が動機づけの中心になると考えました。

段階 欲求 職場での例
5 自己実現の欲求 能力を最大限に発揮できる仕事
4 承認(尊厳)の欲求 昇進、表彰、周囲からの評価
3 社会的(所属と愛)の欲求 良好な人間関係、チームへの帰属
2 安全の欲求 雇用の安定、安全な作業環境
1 生理的欲求 生活できる賃金、休憩

覚え方と注意点

頭文字で「生・安・社・承・自(せい・あん・しゃ・しょう・じ)」と下から唱えて覚えるのが定番です。試験で狙われるのは次の2点です。

  • 自己実現の欲求だけは、満たされても消えずにさらに強くなる「成長欲求」であること。
  • 「低次の欲求が完全に満たされないと高次の欲求は現れない」と書かれた選択肢は誤り。マズローは相対的な充足でよいとしています。

関連して、アルダーファのERG理論(存在・関係・成長の3段階、複数の欲求が同時に働くことを認める)が比較で出題されるので、セットで押さえておきましょう。

ハーズバーグの二要因理論:満足と不満は別物

ハーズバーグは、職務満足をもたらす要因と職務不満をもたらす要因が、同じ物差しの両端ではなく別の次元にあることを見出しました。

該当する要因 充足されたとき 欠けたとき
動機づけ要因 達成、承認、仕事そのもの、責任、昇進・成長 満足が生まれる 「満足ではない」状態(不満ではない)
衛生要因 会社の方針と管理、監督、給与、対人関係、作業条件 「不満ではない」状態(満足ではない) 不満が生まれる

覚え方

衛生要因は「仕事の環境」、動機づけ要因は「仕事の中身」と覚えます。歯磨きのような衛生習慣はサボると不快ですが、やっても幸福にはならない。それが衛生要因のイメージです。

試験では「給与は動機づけ要因である」という誤肢が頻出です。給与は衛生要因に分類される点は必ず押さえてください。また、動機づけ要因を職務に組み込む考え方が「職務充実(ジョブ・エンリッチメント)」につながる、という関連論点も出題されます。

ブルームの期待理論:やる気は掛け算で決まる

期待理論は、人が努力するかどうかは、次の3つの要素の掛け算で決まると考えます。

  • 期待(E):努力すれば成果が出せそうか
  • 道具性(I):成果を出せば報酬に結びつくか
  • 誘意性(V):その報酬に魅力を感じるか

掛け算であることがポイントで、どれか1つでもゼロなら動機づけは生まれません。たとえば「成果を出せば必ず報酬がもらえる(道具性が高い)」としても、「自分には到底無理だ(期待がゼロ)」と感じていれば、その人は努力しません。

覚え方

できそう × もらえそう × ほしい」と日本語で覚えておくと、選択肢の記述がどの要素の話をしているか即座に判別できます。マズローやハーズバーグが「何が」動機づけるかを扱うのに対し、期待理論は「どういう計算で」努力量が決まるかを扱う過程理論だ、という位置づけの違いも押さえましょう。

学習のコツ:理論同士の対応関係を表にする

モチベーション理論は単体で問われるだけでなく、「マズローの高次欲求とハーズバーグの動機づけ要因が対応する」「マグレガーのY理論は自己実現の欲求を前提にしている」といった理論間の対応関係が問われます。マズロー・アルダーファ・ハーズバーグ・マグレガーを横に並べた対応表を自作して、どの理論の何がどこに対応するかを一覧できるようにしておくと、正誤判定のスピードが大きく上がります。