機関設計は「公開会社か」「大会社か」の2軸で決まる

会社法の機関設計は選択肢が多く見えますが、試験で問われる骨格は公開会社かどうか大会社かどうかの2軸だけです。

  • 公開会社:発行する株式の全部または一部に譲渡制限がない会社。株主が入れ替わりやすいので、経営を監視する仕組みが厚く求められます。
  • 大会社:資本金5億円以上、または負債総額200億円以上の会社。規模が大きく利害関係者が多いので、会計のチェックが厚く求められます。

この2軸から導かれる必須ルールは次の4つです。

条件 必ず置くもの
公開会社 取締役会
取締役会設置会社 監査役(または監査等委員会・指名委員会等)※非公開の会計参与設置会社は例外
大会社 会計監査人
公開会社かつ大会社 監査役会(監査等委員会・指名委員会等設置会社を除く)

覚え方は「公開なら取締役会、取締役会なら監査役、大きいなら会計監査人、公開で大きいなら監査役会」と、連鎖で口に出すのが効果的です。この連鎖が頭に入っていれば、「非公開の大会社に監査役会は必須か」(答え:不要)のようなひっかけにも対応できます。

人数と任期の数字

機関設計とセットで問われる数字も、まとめて覚えましょう。

  • 取締役会設置会社の取締役:3名以上
  • 監査役会:監査役3名以上、うち半数以上が社外監査役
  • 取締役の任期:原則2年、監査役は4年。非公開会社(監査等委員会・指名委員会等設置会社を除く)は定款で最長10年まで伸長可
  • 取締役会の決議:議決権を持つ取締役の過半数出席・出席者の過半数賛成(特別利害関係のある取締役は議決に加われない)

株主総会の決議要件は3段階

株主総会の決議は「普通・特別・特殊」の3段階で、事項の重大さに比例して要件が重くなると理解するのが基本です。

決議 定足数 賛成要件 代表的な事項
普通決議 議決権の過半数を有する株主の出席(定款で排除可) 出席株主の議決権の過半数 取締役・監査役の選任、取締役の報酬、計算書類の承認、剰余金の配当
特別決議 議決権の過半数を有する株主の出席(定款で3分の1まで緩和可) 出席株主の議決権の3分の2以上 定款変更、事業譲渡、合併・会社分割・株式交換・株式交付、解散、監査役の解任、募集株式の有利発行
特殊決議 なし 議決権を行使できる株主の半数以上かつ議決権の3分の2以上(または総株主の半数以上かつ議決権の4分の3以上) 全株式に譲渡制限を設ける定款変更など

覚え方のコツ

  • 「会社の形を変える」なら特別決議:定款・組織再編・事業譲渡・解散はすべて「会社そのものを変える」行為です。逆に「日常の運営」(役員選任・配当・決算承認)は普通決議、と整理すると迷いません。
  • 選任は普通、解任は原則普通だが監査役だけ特別:監査役は経営陣を監視する立場なので、経営陣の都合で簡単にクビにできないよう解任は特別決議です。取締役の解任は普通決議で足ります(累積投票で選ばれた取締役の解任は特別決議)。
  • 役員選任の定足数は3分の1未満にできない:普通決議の定足数は定款で完全に排除できますが、役員選任・解任だけは3分の1が下限です。ここは頻出の例外です。

取締役の義務・責任もあわせて押さえる

機関設計と一緒に出題されやすいのが取締役の義務です。競業取引と利益相反取引は事前承認が必要(取締役会設置会社は取締役会、非設置会社は株主総会)で、任務懈怠責任の全部免除は総株主の同意、株主総会特別決議でできるのは一部免除にとどまります。「承認は事前」「全部免除は全員」と対にして覚えましょう。

学習のコツ

  1. まず「2軸4ルール」の連鎖を暗唱できるようにする。
  2. 次に数字(3名・半数・2年・4年・10年・3分の2・3分の1)を表で固める。
  3. 最後に「特別決議に該当するか」を事項ごとに○×で即答する練習を繰り返す。誤肢は「普通決議の事項を特別決議と入れ替える」型がほとんどなので、代表例を覚えておけば得点源になります。